防災グッズの見直しの一環で、どうしても欲しかったものが非常用カイロ以外の部屋を暖めるための暖房器具。
普段は床暖房やエアコンで過ごせるのですが、有事の際には使えなくなってしまう可能性が高いため、できるだけ手軽に使えて室内を暖房できるものを探していました。
コンパクトな暖房器具としてはオイルファンヒーターや電気ストーブ、石油ストーブなどの選択肢もありますが、ライフラインが途絶えてしまうと使うことはできません。
いろいろ検討した結果、備蓄品のカセットガスだけで動く暖房器具を入手しました。
今年のふるさと納税でいただいた、イワタニのカセットガスファンヒーター「風暖」です。
その名前の通り、市販のカセットガスだけで動くファンヒーターで、コンセントから電源を取る必要もなく、着火するために電池すら必要がない優れものです。
ただ市販価格もそこそこするので防災用途だけで自腹をきって購入するのも悩ましく、しばらく悩んでいましたが、年末に近づき、岐阜県のふるさと納税の返礼品として選択できることを知り、ふるさと納税で控除される残存枠を使って寄付を行いました。
サイト 岐阜県七宗町のページ(楽天)
ふるさと納税ではファンヒーター式の「風暖」だけではなく、カセットガス1本あたりの連続燃焼時間が長めのガスストーブ式も選ぶことができます。
イワタニからは小型の「マイ暖」や独自の暖房効力熱溜め燃焼筒を使ったパワーのある「デカ暖」も選択することができるので、用途にあわせてお好みのタイプで選べはよいと思います。
イワタニの風暖(CB-GFH-1)の実力はいかに?
風暖は世界初のカセットガス単体で発電するファンヒーターです。
いわゆる熱燃焼を電気エネルギーに変換することで、暖かい風を送風することができる画期的な商品なのです。
外部電源不要、すなわちコードレスでどこでも持ち運び可能!
最大のポイントは、外部電力が不要な点。
市販されているカセットガス1本をセットするだけで、すぐに使うことができます。
カセットガス1本での連続燃焼時間は、公称値として標準モードで約1時間43分(103分)です。
やや短時間に感じるかもしれませんが、有事の際にはポケットカイロとの併用で急場のしのぎとして備えておけば頼りになりますね。
動力源としては標準的なイワタニのカセットガスが推奨されていますが、私は同サイズの安価なカセットガスを大量に買い置きしているのでそちらを使っています。自己責任にはなりますが、特に問題なく稼働しています。
また外部電力がいらない=コードレスであるため、どこでも持ち運ぶことが可能です。
ダイニング、リビングや書斎で足元を暖めたり、普段使わない和室であったり、洗面所・脱衣所、玄関などでちょっとした暖房が必要な時に使えます。
私は震災などの有事のケースを想定して「風暖」を備えましたが、日常的な利用シーンでもちょっとした暖房が欲しい場合は重宝できるコンパクトなサイズ感と買い求めやすいカセットガス単体で利用できる使い勝手のよさが光ります。
↓本体はとてもコンパクト。燃料となるカセットガスボンベと比較してこのサイズです。
4.7kg(カセットガスボンベ含まず)と軽量なので持ち運びやすい重さとサイズ感です。
↓側面はこちら。本体側面両側に持ち手がついています。
稼働中は上部が熱くなので注意するべし。
↓本体裏面。裏面の下側にカセットガスをセットします。
個体差があるのか不明ですが、多少力をいれてフタをあけます。
屋内利用基準に適した5つの安全装置で安心!
5つの安全装置(不完全燃焼防止装置、立ち消え防止装置、点灯時消化装置、圧力感知安全装置、温度過昇防止安全装置)が搭載されているので、万が一の時も安心です。
一般的に屋内用の暖房器具には法的規制があり、①転倒防止装置、②立ち消え安全装置、③不完全燃焼防止装置の3つが義務付けられています。
屋外用に設計された暖房器具にはこれらの装置の一部がついていないため、使用できません。
但し、これらの安全装置がついているといっても、キャンプの車中泊やテント内で利用しているというケースが見受けられますが、メーカー公式見解では「カセットガス暖房機はテント内や車内では絶対に使用しないでください。」との記載があるので、安全管理上、ご使用は避けたほうが無難です。
テントのような狭い密閉された空間で燃焼器具を使うと、酸欠や一酸化炭素中毒で死亡など重大事故となるおそれがあるため、屋外用・屋内用を問わず使用できないのです。
気になるランニングコストは?
カセットガス1本あたり、約80円程度です。
1本で1時間半少し連続燃焼できるので、起床してからの1~2時間、寝る前の1~2時間利用で2~3本消費するので、240円/日。
1日8時間フルに使う場合は、5本使うため400円/日となりますが、これは電気ストーブの216円(目安として1時間あたり27円で試算)の倍近くかかるため、現実的ではありません。
電気ストーブも暖房器具としてはランニングコストが高いほうなので、短時間での利用が推奨されていますが、カセットガス式の暖房器具なら尚更です。
ただ、電気が使えない場所でも使えるメリットはありますので、そこをどう考えるか次第でしょう。
実際に使ってみた
せっかくなので試運転も兼ねて、6畳の和室で「風暖」を使ってみることにしました。
暖房器具そのものの発熱量から推奨される部屋の大きさは、木造戸建てで5畳、コンクリート集合住宅で7畳となっていますので、適度な部屋のスペースです。 ※屋内用ですが、カセットガスボンベ(ブタンガス)の特性から、気温が10℃を下回ると気化しづらくなり、5℃以下では点火できなくなってしまいます。
市販のカセットガスを本体裏側の下部にあるフタをあけて、1本セットします。
セット方法はカセットガスコンロと同じようにカチッとはめこむだけ(マグネット式)。
いよいよ稼働します。
電源コード不要なので、カセットガスをセットするとすぐに使える状態に。
稼働スイッチは本体手前にある点火用のダイヤルを左にまわしてつけるだけ。
カセットガス方式で、鍋物に使うカセットガスコンロと点火方法はまったく同じなので、カチッとした音もスイッチのはいった感じもまったく同じ感覚です。
1分もしないうちに暖かい風が本体前面の送風口から吹き出してきます。
これはまさしくガスファンヒーターそのもの!
カセットガスだけで暖かい風がでてくるのは感動そのもの。
標準だと送風口前にいるとじっとはしていられないほど熱くなので、少し離して利用します。
しばらくすると部屋が温まってくるので、「弱」モードに切り替えます。
風暖の暖房の強さは2段階方式です。
本体手前にあるダイヤルで切り替えることで「標準」と「弱」モードに変更できます。
稼働時間は、[標準] 約1時間43分(約103分)、[弱]約 2時間18分(約138分)となっています。
通常はまず「標準」モードで暖房を開始し、ある程度部屋が暖まったら、「弱」モードに切り替える運用で問題ありません。
1分で立ち上がり、急速に部屋を暖めるので、「標準」モードだと意外とすぐに暑くなってくるので適度なところで「弱」に切り替えながら使ったほうがよいと感じました。そのほうがカセットガスの節約にもなりますね。
防災用として買ったらしまい込んでしまうのではなく、使い方は一度実際につかって検証することをおすすめします。
どの程度の暖かさなのか、どの程度で部屋が温まるのか、どの程度カセットガスが持つのかを体感することは大切です。
なによりも定期的に稼働させることは安全管理や製品寿命の点でもポイントです。
連続燃焼時間を優先するならカセットガスストーブ
イワタニの「風暖」はデザインもよく気に入っているのですが、唯一の欠点は、カセットガス1本あたりの連続燃焼時間が短い点です。
これはカセットガスの使い道がもともとカセットガスコンロ用のため、容量が小さいから致し方ないとことなのですが、同じイワタニからは「風暖」よりも連続燃焼時間が長いガスストーブがラインナップされています。
方式がガスファンヒーターではなく、ガスストーブとなっているところがポイントですが、ガスストーブ式はファンヒーターのような温かい送風の機能がなく、局所的に暖めることが得意な暖房器具です。
見た目はいわゆる石油ストーブや電気ストーブに似ているので多少やぼったさはありますが、少しでも連続燃焼時間が長いほうをお望みの方はこちらのガスストーブ式の暖房器具を選択したほうがよいでしょう。
ガスストーブ方式は2時間30分~3時間20分と風暖よりも長時間燃焼できるので実用的です。
特に小型石油ストーブに匹敵する暖かさを得られる「デカ暖」はオススメです。
見た目がよくて、暖風が部屋全体に行き渡りやすいファンヒーター方式が好みで、1時間半程度の燃焼時間でも許容範囲内であれば、「風暖」です。
参考までに下の比較表には暖房の目安となる部屋の大きさも記載しています。
どれも広い部屋ではなく小さめの室内を想定しているので、やはり広さを優先するのであれば「風暖」のようなファンヒーター式のほうがよいでしょう。
※連続燃焼時間は、気温20~25℃のとき、連続燃焼にてカセットガスを使い切るまでの実測値。
コンパクトカセットガスストーブ/ファンヒーターのまとめ
日本の技術開発力にはつくづく感心させられますが、自宅にあるカセットガス1本で暖房できる「風暖」は十分に日常的に使える暖房器具です。
燃料となるカセットガスをセットさえすれば、ファンヒーターならではの送風で急速に部屋を暖めることができるので、ちょっとした暖房が欲しいときに使える、”ちょい暖”として活用できるでしょう。
肝心のランニングコストもカセットガス1本あたり、安価なもので80円程度/1時間半です。
朝起床して肌寒い洗面所・脱衣所・台所での利用や、足元が寒くてちょっと暖房が欲しいときに短時間使ったりする範囲では、その使い勝手のよさからも気にならないランニングコストです。
もちろん私のように防災用品として保管しておき、備蓄品としてカセットガスを多めに備えておけば、震災などの有事の際には欠かせない暖房器具になりそうです。
”ちょい暖”利用や防災用で1台あると便利ですよ。
また、ふるさと納税でも入手できるので節税しながらお得な返礼品としてもオススメです。