これまで読書しながら、自分なりに気づきのあったところをメモとして書き出したり、ポストイットをはって読了後にアウトライナーなどを使って書き出しポイントを整理することはやっていました。
ただしばらくするとそれすら忘れてしまいがちで、また繰り返し読んだりすることもしばしば。
いわゆる「読書術」について、今さらながら他人はどうやっているのだろうか?
どう効率的に読書をやっているのかを知りたくなり、手にとったのが、この樺沢紫苑著「読んだら忘れない読書術」です。
言わずもがな、今や樺沢さんはベストセラー連発の旬な精神科医です。
これまで過去20年間で6,000冊以上(月あたり20~30冊)読書し、ご自身の著書も30冊以上、Youtubeをはじめネットメディアで毎日40万人以上に向けて精力的に情報発信するなど、膨大なインプットとアウトプットを実践されてきた方です。
樺沢さん曰く、「読書は自分の知識として定着させて、自己成長に結びつけてこそ、はじめて意味がある」と。
本書ではそんな樺沢さんが日常的に実践している、自己成長につながる「読書術」のエッセンスが体系的に紹介されています。
脳科学に裏づけられた、読んだら忘れない読書術。
「本の読み方」だけではなく、「本の買い方」、「本の選び方」にまで言及されているのが他の類似本とは異なるところです。
「読んだら忘れない読書術」は以下のような人にむいています。
- 読書しても、すぐに内容を忘れてしまう方
- 読書をしたいが、忙しくて読書をする時間がないと感じている方
- 本の読み方から、本の買い方や自分にあった本の選び方を知りたい方
- 読書で学んだこを記憶に定着させる方法を知りたい方
- 忙しくて読書をする時間がない方
「読んだら忘れない読書術」で読書前にやるべきこと
本の選び方(本の選択基準:守・破・離)
まず読書にはいる前にやるべきこととして、本を正しく選ぶことが大切です。
その際、本の選択基準である「守・破・離」を意識すること。
- 守:基礎を学べる「基本の本」
- 破:他の人の方法を学べる「応用の本」
- 離:自分のスタイルを模索するための「ブレイクスルーの本」
簡単に言えば、自分が今読もうとしている本の分野で、どの程度知識があるのか?どのステージにいるのか?どこを目指して本を読むのか?を見極めた上で、最適な本を選ぶということです。
まったく未知の領域であれば、「守」の本を選べばよいし、基本的な知識はすでに持っているのであれば、「破」や「離」の本から最適な本を選べばいいのです。
これは極々当たり前のことなのですが、タイトルや心をひきつけるキャッチコピー、目をひく装丁だけをみて買ってしまうのでは本末転倒。
まずは書店で実際に手にとり、目次をみて、パラパラと内容をざっと確認するプロセスが必要になってきます。
Amazonなどのオンライン書店でも目次や内容チラ見ができるようになっているのですが、私は基本的に気になった本は大型店舗にでむいて実物を確認した上で購入に値するか検討しています。
たとえAmazonで売れ筋のベストセラーであっても、自分のステージにあっていなかったり、今の自分が求めているものではない場合も多々あります。
必ず紙の本で目次と内容を確認するようにしています。
本を読み込む前の下準備(パラパラ読み・ワープ読み)
読書する本が決まったら、次は今から読もうとしている本の全体構成を把握することが大切です。
そのための手段が、「パラパラ読み」と「ワープ読み」。
電子書籍では難しいですが、書店などで本を手にとってみるときに誰もが必ずやっていることではないでしょうか?
これをより意識的に行います。
パラパラ読みでは、本の目次や冒頭部分、完結部分をパラパラをめくって、今から読む本のアウトラインをざっくり把握します。
そして、ワープ読みでは目次の章立てを参考にしながら、自分が知りたいことが書かれているところ(本を読む目的)を読んでだいたい把握します。
読書にはいる前段階で、本の全体構成と本を読む目的(ゴール)を設定しているので、その後の読書で頭にスムーズにはいりやすくなるのです。
「読んだら忘れない読書術」の大切な2つのポイント
読書の前段階として、ざっくりと本で書かれている内容を把握、話の展開が予想できたら、ようやく読書にはいります。
「読んだら忘れない読書術」を実践するにあたっての重要なキーワードは、次にあげる2つのポイントです。
- アウトプットすること <アウトプット読書術>
- スキマ時間を活用すること <スキマ時間読書術>
読書中・読書後にやるべき4つのこと「アウトプット読書術」
「読書」はアウトプットする前提で知識をインプットすることで、1冊の本から多くのことを学びとる能力を磨くことができます。
そのためのトレーニング方法としてすすめられているのが、本を1冊読んだら、週に3~4回アウトプットする習慣をつけること。
具体的には、
- 読書中は蛍光マーカーで「気づき」にラインをひく。
- 自分にとっての「気づき」や「疑問点」をボールペンでメモする。
- 読書後は、SNS等で本の感想や名言を発信する。
- さらにブログで書評・レビューを発信する。
- 人に本の内容を話す(複数の切り口で話す)
を通して、
- アウトプット1回目:ペンを使って気づきをマーキング&メモする
- アウトプット2回目:SNSで感想や名言を発信する
- アウトプット3回目:ブログで書評・レビューを書く
- アウトプット4回目:人に話す
と4回のアウトプットを行うことができるのです。
そして、これらの一連のアクションを習慣づけることで、インプットとアウトプットの反復トレーニングが可能となり、結果的に読書のスピードアップにもつながります。
ここで少しデジャブ感が。
ふと私の学生時代の学習方法を思い出しました。
学生時代の受験勉強では教科書や参考書を音読しながら、重要なポイントに蛍光マーカーでマーキング。
別途サブノートを作成して、自分ながらの解釈で実際に文字をおこしながら体系的にまとめていました。
確かにその方が長く記憶に残るのです。
日常的にインプット&アウトプットを繰り返しをおこなうことで、記憶に残る読書術は、実はすでに誰もが過去経験してきていることではないでしょうか?
さらに今の時代は、情報を発信して他人にシェアする機会や手段が多くあるので、以前よりもアウトプットに関してはたやすくなっています。
ならば、それもアウトプット手段として利用しない手はないということです。
効率的な読書時間をつくるための「スキマ時間活用術」
アウトプットを前提にしたシンプルな読書術ですが、習慣化するまではそれなりのアウトプットの読書術を繰り返して身につける必要があります。
とはいえ、仕事などが忙しくて時間がとれない、読書する時間がないという理由であきらめてしまっているのではないでしょうか?
ただそれは言い訳にすぎず、時間を確保しようとする努力をしていないのとイコールです。
例えば、サラリーマンであれば通勤の移動時間や就寝前のリラックスした時間帯を活用することだってできるはずです。
この日常生活の中のわずかなスキマ時間を最大限に活用するのが、「スキマ時間活用術」です。
樺沢さんによれば、人間は制限時間をもうけて読書すると集中力が高まり、記憶の脳内物質(ドーパミン)が分泌されて、結果として記憶に残りやすいのです。
例えば、
- 3日で1冊を読む
- 15分だけ集中して読む
等、ある一定時間内に集中して取り組むことで、各段に記憶に定着しやすくなるのです。
特に15分の読書は「5分5分の読書術」といって、15分間の読書時間の中でも初頭努力で最初の5分、終末努力で最後の5分は人間は集中を高めることができることを逆手にとったテクニックです。
集中力を最大に発揮できる15分を活用することが、スキマ時間の活用のキーとなります。
これは樺沢さんの著書「神・時間術」でも書かれていた「15-45-90の法則」で、15分/45分/90分は人間の集中しやすい時間単位ブロックであり、これを読書に適用した読書術です。
まとめ:アウトプット前提の読書を習慣化づけよう
以上、「読んだら忘れない読書術」の中から、私が特に気になっていた「記憶に定着しやすい読書術」の実践方法について書き出してみました。
この「読んだら忘れない読書術」では、
- 自分のステージにあった本の正しい選び方(守・破・離)
- 読書前の準備で、全体と目的を把握する(パラパラ読み、ワープ読み)
- 記憶に残る、アウトプット前提の読書術(1冊あたり週3~4回)
- スキマ時間活用により、集中力をあげて記憶に残る読書術
について理解することができました。
この手の類似本では「読書術」だけを書いたものが多い中、「本の選び方」や「本の買い方」に至るまで、樺沢さんが培ってきた経験をわかりやすく体系化して解説しています。
まさに読書術に関して、先人の経験やノウハウ(結晶化された知識)を本書を読むことで、ゼロからスタートではなく効率的に吸収できました。
私の場合は、これまでの読書を通して無意識のうちにやっていたプロセスとの共通点を見つけることで間違っていなかったことを実感。
今後はよりアウトプットすることを意識することで、地頭をきたえ、自己成長につなげていければと考えています。